プロフィール

「子どもは自ら育つ力を持っており、大人がその邪魔をしなければすくすくと育つ」

大人が子どもの育つ力を信じて見守っている(子どもの邪魔をしない)と、子どもは安心して、本来の力を発揮していきます (自ら成長の変化を見せてくれる)。目の前の見える事象は、成長過程の一つであり、今の状態で将来こうなるは決められません。この子は今、何を感じているのだろう…、何が楽しいのかな?など、子どもの気持ちに思いを馳せながら、子どもたちの未来につながる「今」を応援しています。

子どもが本来の力を発揮していく姿にいつも感動。日々の子どもたちとの出会いの中で、それを目の当たりにし、まわりの大人たち(親・先生)と共有できることが何よりの喜びです。

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矢野恵津子(やのえつこ)  臨床心理士・公認心理師

重度の知的障害と自閉症を持つ弟と生活。言葉をほとんど持たない彼の表現から、彼の心の内を察し、通じ合えた!と感じる瞬間がうれしかったことを記憶しています。スーパーで買ったお刺身は食べないのに、獲れたての刺身は食べる。盛り付けに大きな違いがあるわけでも、この魚は新鮮だと説明があったわけでもないのに…。そんな日々の出来事から、障害にせよ、精神疾患にせよ、いわゆる「普通でない」とみなされる人たちは、実は既成の概念では測れない能力を持っているのではないか…と漠然と感じていました。そんな興味から、人についてもっと知りたいと、心理学を学べる大学に進学。

そこで、最初に出会ったのが、フォーカシングでした。「自分は、今どんな風に感じているか」という、ことばの奥にある身体の感覚に注意を向けるトレーニングを集中的に行いました。そこでの気づきが、以降、自分は「どう感じているか」を丁寧に確認し、「どうしたいか」「どうするか」行動を選択する原点となっています。それは、私のカウンセリングの原点ともなっています。

卒業研究では「子ども」と「自然」をテーマに、子どもたちへの野外活動の効果について研究。卒業後、野外教育指導員になりました。ここでの経験から、子どもの心理をより専門的に学びたいと大学院への進学を決意。幼稚園教諭をしながら、臨床心理学を修得。以降、児童相談所心理判定員、保育士養成専門学校教員、大学非常勤講師、児童精神科クリニック心理士など、子どもの発達・心理に関する仕事に携わってきました。その過程で、我が子と家族で通える幼稚園に通い、そこでの体験からもたくさんの気づきを得ます。

〇学校教育の当たり前や子育ての常識を覆される体験

(我が子と家族で通える幼稚園に10年間通った中での気づき)

・大人たちが子どもを一人の人間として尊重し、誠意をもって関わる環境

「やりたいもやりたくないも尊重される」環境の中で素直に表現する子ども達。大人たちも、「できる時にできることを、出来ない時にはできる人に安心して任せられる」「苦手を克服するのではなく。得意や好きを持ち寄って過ごす」そんな支え合い、補い合う心地よさを経験。最初は戸惑っていた私もその時の自分の気持ちを大切にして良いのだと安心することができました。子育ての「困った!」もそこで共有すると、面白がれ、笑えて心が軽くなりました。そこでつながった仲間とのコミュニケーションは今でも心地よく、わたしの財産となっています。

・自分の感じたまま、素直に振舞う子どもたち

それは大人の目には「困った子」と映ることも多いですが、そこには本人なりの理由があります。周りの大人たちが子どもを「子どもとして」ではなく、「対等な1人の人間として」尊重し、誠意をもって関わり続けることで、子どもたちは自分で感じ、考え、自分も相手も尊重する素敵な人に成長していきます。その姿をたくさん目の当たりにしてきました。子ども(人間)は本来、自ら育つ力を持っており、その子がしていることは今のその子にとって必要なこと。それを大人が邪魔しなければ、本来の力を発揮していくことを体感しました。

・大人も、子どもとともに気づき、子どもとともに育つ

大人と子どもの数だけある幾通りもの関わり方、育ち方。たくさんのモデル(子ども、大人)から、人間の育ちの可能性は環境や関係性の中で広がっていくことも実感しました。今までの価値観や常識、既成概念からのジャッジではなく、その人がどう感じているかを理解しようすること(=理解してくれる人の存在)がその可能性を広げていくことを感じています。

「やりたいもやりたくないも尊重される」環境では、今お腹が空いているか、今日はあの子と食べたい、こんなことして遊びたい、今は一人でいたいなど、自分の心や身体の状態を知る機会がたくさんあります。自分が今どんな状態なのか気づくことは、自ら行動を選択する(=主体的に生きる)ための重要な情報源となります。それは私のカウンセリングの原点ともなるフォーカシングと共通していました。自分が今どう感じているかを知り、自分で行動を選択することは主体的に生きること。それは、自分を大切に扱い、自らより良く生きることにつながります。これまでの臨床経験からの気づきも相まって、「子どもは自ら育つ力を持っている。大人が子どもの本音を理解しようとし、邪魔をしなければすくすくと育つ」と確信するに至りました。

そのことを日々の子どもたちとの出会いの中で実感することがこの上ない喜びです。

<現在>

・スクールカウンセラー
・幼児健診発達相談員
・大学学生相談室カウンセラー
・精神科クリニック心理士
・不登校の居場所 心理士
・訪問発達支援事業所 心理士

<今まで>

・野外教育指導員
・幼稚園教諭
・児童相談所非常勤心理判定員
・大学相談室カウンセラー
・保育士養成専門学校教員
・大学非常勤講師
・児童精神科クリニック心理士

<講演実績 (内容)>

・「自分との向き合い方」公立中学校1年生対象
・「こころとからだを楽にする方法―好きを大切に―」 公立小学校2~6年生
  学年に応じて、理解しやすい内容にアレンジ

・「不登校の支援について」公立中学校教員研修
・「子どもの思春期」家庭教育学級
・「不登校―子どもの中で何が起きているのか―」不登校の子の居場所